ここでも強面に囲まれて飲む
>>前回の続き
ギロリ。
Brauerei Nederのドアを開けるとまた視線が刺さった。それも前の二軒とは違いちょっと混み合っている。
L字型の店内で入口すぐの所に「ちょい飲み用」のテーブルが、そしてその奥に常連席「Stammtisch」、そしてL字の長辺にレストランスペースが配置されている。
カウンターには樽が一個置かれており、オバサンが一人忙しそうに働いている。小さな窓が付いており、他の店と同様に通路の立ち飲みスペースで飲む人はここにセルフで買いに来る。
席がない。
手前の席は何かの集まりなのだろうか。みんな向き合って何やらと話をしている。いや、そんなはずはない。どれもヒマそうなオジサンばかりだ。そしてなぜか強面ばかりが揃っている。
仕方がないので外の通路にある席に座り、この窓からビールを買おうとドアに手を掛けると
「おい、ここに座れよ」
とシュタムティッシュのオジサンが声を掛けてくれた。これはありがたい。
常連席は基本的に「一見さんお断り」だが、そこに座っている人が「座れ」と言った場合はもちろん文句は言われない。
「ははは、さっきは隣の店にいただろ?オレがこの店に入るとき、おまえさんは写真を撮っていたぞ」
何と、僕の行動は見られていた。
そんな話から始まり、僕は今までの旅の事や、今回のビアライゼの事を彼等に話した。
こうして常連さん達と少しでも話をすると、ビール紀行は一気に面白くなる。
ドイツ人全体がどうなのかは不明だが、酒場で見かけるような人はシャイの人が多い。しかし、ちゃっかりと会話は盗み聞きしている事が多く、何かのきっかけで話が始まると、先ほどまでの閉じた口はどこに消えたのか、次々と会話に割り込んできては話を始める。
ちょい飲み席のオジサン達も、自分たちの会話をしながら僕の話にも耳を傾けていたようで、ある集落の名前を言った時に
「おぉ、オレはその集落から来た」
と口を挟んできた。
すると連鎖的に話が始まり
「オレはその隣の集落XXからだが、近所にはXXという醸造所があるぞ。何?行ったことがある!?」
などと話が繋がる。
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